疾患情報
検査から診断
Q. 心アミロイドーシスはどのように診断されるのですか?
アミロイドーシスの診断では、「アミロイドーシスがあるかどうか」だけでなく、「どのタイプのアミロイドーシスなのか」を正しく見分けることが重要になります。
このページでは、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)を疑うサインや、診断にいたるまでの検査などについて説明します。
Q. トランスサイレチン型心アミロイドーシスを疑うサインにはどのようなものがありますか
医療現場では、病気を疑うきっかけとなる特徴を「レッドフラッグ(注意すべきサイン)」と呼びます。例えば、
- 高齢になってから心不全と診断された
- 心臓の壁が厚いと言われた
- 原因不明の息切れやむくみがある
- 心不全を繰り返している
- 以前は高血圧だったのに、最近は血圧が低くなった
- 手根管症候群 (手のしびれ)の手術を受けたことがある
- 脊柱管狭窄症 (腰や足の痛み・しびれ)の治療歴がある
- 肩の 腱板 断裂を経験したことがある
といった特徴がみられる場合、トランスサイレチン型心アミロイドーシスが隠れている可能性があります。
Q. アミロイドーシスが疑わしい場合、どのような検査を行いますか?
●血液検査
血液検査では心臓に負担がかかると上昇するBNPやNT-proBNP、心筋の傷害を反映するトロポニンなどを測定します。トランスサイレチン型心アミロイドーシスでは、心臓の壁が厚くなっているだけでなく、心筋そのものに傷害が起こるため、これらの数値が高くなります。

また心臓への負担を評価するだけでなく、ALアミロイドーシスの原因となる異常な免疫グロブリンが存在しないかを確認します。トランスサイレチン型心アミロイドーシスとALアミロイドーシスでは治療法が大きく異なるため、この鑑別は非常に重要です。
●心電図検査
心電図は、心臓の電気の流れを調べる検査です。通常、心臓の筋肉が厚くなると電気信号も大きくなります。しかしトランスサイレチン型心アミロイドーシスでは、心臓の壁が厚いにもかかわらず、電気信号が小さいことがあります。このような「心臓の厚さ」と「心電図」のずれは、トランスサイレチン型心アミロイドーシスを疑う大切なヒントになります。

●心エコー検査
心エコー検査は超音波を使って心臓の形や動きを調べる検査です。体への負担が少なく、多くの患者さんで最初に行われます。トランスサイレチン型心アミロイドーシスでは心臓の壁が厚くなり、心臓が硬くなるため、血液をうまく取り込めなくなります。その結果、息切れやむくみなどの心不全症状が現れます。また、心エコーではトランスサイレチン型心アミロイドーシスに特徴的な心臓の動きや、心臓の筋肉の厚みがみられることがあり、診断の重要な手がかりになります。

●心臓MRI検査
心臓MRI検査では、心筋の状態をより詳しく調べることができます。アミロイドがたまった心筋には特徴的な変化が現れるため、他の心臓病との区別に役立ちます。すべての患者さんに必要な検査ではありませんが、診断をより確実にするために行われることがあります。
●シンチグラフィ
トランスサイレチン型心アミロイドーシスの診断で特に重要な検査が、シンチグラフィです。血管から放射性医薬品を注射し、その集まり方を撮影します。トランスサイレチン型心アミロイドーシスでは、心臓に放射性医薬品が集まりやすくなるため、画像から病気の可能性を高い精度で評価できます。近年、この検査の普及によってトランスサイレチン型心アミロイドーシスを診断できる患者さんが大きく増えました。シンチグラフィで心臓への特徴的な集積が確認され、血液検査と尿検査でALアミロイドーシスの可能性が否定された場合には、心臓の組織を採取することなくATTR-CMと診断できることがあります。

●心筋生検
シンチグラフィで判定が困難な場合や、シンチグラフィが陽性であってもALアミロイドーシスの可能性が否定できない場合には、カテーテルを用いて心臓の組織を採取して調べる「心筋生検」を行います。心筋へのアミロイドの沈着、およびどのタイプのアミロイドなのか調べます。
●遺伝学的検査
トランスサイレチン型心アミロイドーシスには、遺伝子の変化によって起こるタイプと、加齢に伴って発症するタイプがあります。原因タンパクであるトランスサイレチンの遺伝学的検査を行い、どちらのタイプかを確認します。
Q. 症状が心アミロイドーシスに当てはまるか判断がつきません。また疑った場合、どんな病院を受診しても良いのでしょうか?
トランスサイレチン型心アミロイドーシスには、病気の進行を抑える治療薬が使用できるようになりました。そのため、「年齢のせい」「普通の心不全だから仕方ない」と考えず、できるだけ早く診断し、適切な治療につなげることが重要です。心不全や心肥大を指摘された方、手根管症候群や脊柱管狭窄症の治療歴がある方は、一度循環器専門に相談してみてください。早期発見が、その後の生活や将来の治療選択につながります。
医師監修:泉家 康宏先生